名所江戸百景 ・ 31
吾嬬の 森連理の 梓
めいしょえどひゃっけい あづまのもりれんりのあずさ
One Hundred Famous Views of Edo: The Entwined Camphor Trees at Azuma Shrine
作品に ついて
手前の水路を二艘の舟が行き、岸の土手には桜が咲いて人々が歩いています。土手道は奥で折れ曲がり、赤い幟の並ぶ参道となって左手の森へ続きます。森の中にひときわ高くそびえるのが連理の木で、その下に社の屋根が見えます。空には雁が列をなして飛んでいます。
青い水路と白い土手道が、画面を斜めに折れ曲がりながら奥へ視線を導きます。田の灰緑、桜の淡い紅、森の濃い緑が層になり、地平の赤い帯が遠さを感じさせます。雁の列が空の広さを示し、春の夕暮れのような穏やかな気配を添えています。
吾嬬の森は今の吾嬬神社で、日本武尊の東征の折に海に身を投じた弟橘媛をまつったと伝わります。境内には一つの根から二本の幹が寄り添う樟があり、夫婦和合の縁起木として信仰を集めました。題では梓と書かれていますが、実際は樟だったとされます。
春の部の一図です。名所の神木を主役に据えながら、それを遠景に小さく置き、手前に参詣の道のりを描く構成は、郊外の名所を描く図によく見られます。
描かれた 場所の 今
吾嬬神社は今も墨田区立花1丁目に鎮座しています。連理の樟は枯れ、根と幹の一部が境内に残るだけになったといいます。周りの田や水路は住宅や工場の街に変わり、社の小さな森がかつての吾嬬の森の名残をとどめています。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
- 東京国立博物館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・台東区 作品番号 A-12499-349
- 国立国会図書館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・千代田区 作品番号 寄別1-8-2-1イ
海外の所蔵館
- シカゴ美術館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
シカゴ 作品番号 1925.3755
出典・参考
- Art Institute of Chicago: The Entwined Camphor Trees at Azuma Shrine (Azuma no mori Renri no azusa), from the series "One Hundred Famous Views of Edo (Meisho Edo hyakkei)"(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
- ColBase(東京国立博物館): 名所江戸百景 吾嬬の森連理の梓(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
- 国立国会図書館デジタルコレクション: 名所江戸百景 吾嬬の森連理の梓(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
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