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名所江戸百景 吾嬬の森連理の梓
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名所江戸百景 ・ 31

吾嬬の森連理の梓

めいしょえどひゃっけい あづまのもりれんりのあずさ

One Hundred Famous Views of Edo: The Entwined Camphor Trees at Azuma Shrine

向島の東、吾嬬の森と呼ばれた吾嬬権現の社と、その神木の連理の木を遠くに望んだ図です。桜の咲く堤と水路、幟の並ぶ参道が、田の中にこんもりと浮かぶ森へと続く、のどかな春の景色です。

制作年
安政3年(1856)7月
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
名所江戸百景(全119図)
描かれた場所
吾嬬神社(吾嬬の森)(東京都)

作品について

手前の水路を二艘の舟が行き、岸の土手には桜が咲いて人々が歩いています。土手道は奥で折れ曲がり、赤い幟の並ぶ参道となって左手の森へ続きます。森の中にひときわ高くそびえるのが連理の木で、その下に社の屋根が見えます。空には雁が列をなして飛んでいます。

青い水路と白い土手道が、画面を斜めに折れ曲がりながら奥へ視線を導きます。田の灰緑、桜の淡い紅、森の濃い緑が層になり、地平の赤い帯が遠さを感じさせます。雁の列が空の広さを示し、春の夕暮れのような穏やかな気配を添えています。

吾嬬の森は今の吾嬬神社で、日本武尊の東征の折に海に身を投じた弟橘媛をまつったと伝わります。境内には一つの根から二本の幹が寄り添う樟があり、夫婦和合の縁起木として信仰を集めました。題では梓と書かれていますが、実際は樟だったとされます。

春の部の一図です。名所の神木を主役に据えながら、それを遠景に小さく置き、手前に参詣の道のりを描く構成は、郊外の名所を描く図によく見られます。

描かれた場所の今

吾嬬神社は今も墨田区立花1丁目に鎮座しています。連理の樟は枯れ、根と幹の一部が境内に残るだけになったといいます。周りの田や水路は住宅や工場の街に変わり、社の小さな森がかつての吾嬬の森の名残をとどめています。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

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出典・参考

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