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六十余州名所図会 上総 矢さしか浦 通名九十九里
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六十余州名所図会 ・ 19

上総 矢さしか浦 通名九十九里

ろくじゅうよしゅうめいしょずえ かずさ やさしがうら とおりなくじゅうくり

Famous Places in the Sixty-odd Provinces: Kazusa Province: Yasashi Bay, also known as Kujukuri

上総国の九十九里浜で、地引網を引く漁師たちを描いた図です。荒波の打ち寄せる長い浜に人々が列をなして綱を引き、沖には網を操る舟、浜辺には魚を入れる籠が並びます。江戸時代のイワシ漁の活気が伝わります。

制作年
嘉永6年(1853年)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
六十余州名所図会(全69図)
描かれた場所
九十九里浜(千葉県)

作品について

画面の下半分は灰色の広い砂浜で、男たちが二列になって綱を引いています。浜には丸い籠がいくつも置かれ、天秤棒で籠を担ぐ人や、引き上げられた舟も見えます。波打ち際には白い波が幾重にも砕け、右手の沖では大勢を乗せた舟が網を操っています。

波の向こうには穏やかな海が広がり、帆船が浮かびます。左上には浜辺の松林と低い岬が遠く延び、水平線は淡い赤に染まります。浜の砂を灰色と細かい点で表し、人の列を斜めに並べて、浜の広さと漁の活気を伝えています。

九十九里浜は、江戸時代にイワシの地引網漁で栄えた浜です。とれたイワシは干して干鰯という肥料にされ、各地の畑で使われました。源頼朝が一里ごとに矢を立てさせたら99本になったという言い伝えが、地名の由来の一つとされます。

揃物の中で、浜で働く人々を主役にした一枚です。綱を引く人々の姿勢を一人ずつ描き分け、力を合わせる様子を生き生きと表しています。シカゴ美術館、メトロポリタン美術館、東京国立博物館、国立国会図書館が同じ構図の図を所蔵しています。

描かれた場所の今

九十九里浜は、北の刑部岬から南の太東崎まで約60キロメートル続く千葉県の砂浜で、今は海水浴やサーフィンの名所です。地引網は夏に観光客向けの体験として行われ、浜辺の町ではイワシ料理が名物になっています。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

この作品を所蔵する館

出典・参考

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