六十余州名所図会 ・ 24
飛騨 籠わたし
ろくじゅうよしゅうめいしょずえ ひだ かごわたし
Famous Places in the Sixty-odd Provinces: Hida Province: Basket Ferry
作品に ついて
画面の中ほどで、谷の両岸から張られた綱に二つの籠が吊るされ、人を乗せて宙を渡っています。左の崖の上には杭と綱を操る人々とわら屋根の家、右上の岸にも櫓のような足場と人影が見えます。崖の下では、川が白い波を立てて手前へ流れ出ています。
両側から迫る淡い緑と灰色の岩壁が画面を縦に深く切り込み、谷の奥には紅色に染まる空と遠い山がのぞきます。下の濃い藍の川と上の明るい空の間に細い綱を渡すことで、高さと危うさが伝わります。
籠渡しは、橋を架けにくい山深い谷で、両岸に渡した綱に籠を吊るして人や荷を運んだ仕組みで、飛騨や越中の山あいで使われました。題にはどの川かが記されておらず、山国飛騨らしい風物として選ばれたと考えられます。籠に乗る人の不安と、綱を引く人の力仕事が、小さな人物の姿から伝わってきます。
名所の寺社や海辺の多いこの揃物の中で、暮らしのための交通の仕組みそのものを主題にした珍しい図です。国立国会図書館にも同じ構図の刷りがあり、シカゴ美術館は2枚を所蔵しています。
描かれた 場所の 今
飛騨は今の岐阜県北部にあたり、宮川や庄川、飛騨川などが深い谷を刻む山国です。籠渡しは、つり橋や道路が整うにつれて姿を消しました。庄川沿いの白川郷などの山里には、合掌造りの集落とともに、険しい谷と共に生きた暮らしの記憶が残っています。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
- 東京国立博物館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・台東区 作品番号 A-12499-217
海外の所蔵館
- シカゴ美術館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
シカゴ 作品番号 1965.970
出典・参考
- Art Institute of Chicago: Hida Province: Basket Ferry (Hida, Kagowatashi)(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
- ColBase(東京国立博物館): 六十余州名所図会 飛弾 籠わたし(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
- 国立国会図書館デジタルコレクション: 六十余州名所図会 飛弾 籠わたし(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
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