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六十余州名所図会 ・ 58

土佐 海上松魚釣

ろくじゅうよしゅうめいしょずえ とさ かいじょう かつおつり

Famous Places in the Sixty-odd Provinces: Tosa Province: Bonito Fishing at Sea

土佐国の名物だった鰹漁を、波立つ海の上で間近に描いた図です。何艘もの漁船から男たちが竿を突き出し、跳ね上がる鰹を次々と釣り上げる、にぎやかで力強い漁の場面です。

制作年
安政2年(1855年)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
六十余州名所図会(全69図)
描かれた場所
土佐湾(高知県)

作品について

手前の舟では、緑の着物の漁師たちが身を乗り出して竿を操り、船べりの外では鰹が波間に躍っています。舟には大きな桶や網が積まれ、奥の舟でも男たちが一斉に竿を差し出しています。

画面いっぱいの海は、藍の濃淡で細かな波の模様が描かれ、揺れる舟の動きを強めています。水平線の上は夕焼けのような橙色に染まり、左奥には青い山影、右奥には白い帆の船が浮かびます。沖の静かな景色が、手前の騒がしさを引き立てています。

土佐の沖は黒潮が流れ、鰹の群れが寄る好漁場でした。江戸時代には一本釣りの鰹漁が盛んで、鰹節は土佐の名産として各地へ送られました。江戸でも初鰹がもてはやされ、鰹は人々にとって身近で特別な魚でした。

名所の景色ではなく、その国の生業を主題にした図はこの揃物では珍しく、海に生きる土佐の人々の姿を生き生きと伝えています。国立国会図書館の刷りも同じ構図です。舟と人を画面いっぱいに描き、波のうねりで漁の勢いを表しています。

描かれた場所の今

高知県は今もかつおの一本釣りで知られ、中土佐町の久礼などの漁港には鰹船が水揚げに入ります。藁の火であぶる「かつおのたたき」は県を代表する郷土料理で、高知市のひろめ市場などで気軽に味わうことができ、観光客にも人気です。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

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出典・参考

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