六十余州名所図会 ・ 37
丹波 鐘坂
ろくじゅうよしゅうめいしょずえ たんば かねがさか
Famous Places in the Sixty-odd Provinces: Tanba Province: Kane Slope
作品に ついて
画面の左下から、細い山道がつづら折りに丘を上り、旅人の姿が小さく見えます。道の両側には松がまばらに生え、緑の斜面が幾重にも重なります。右上の山の頂には、二本の柱のような岩の間に石が渡され、アーチ形になった奇岩がそびえています。
緑の丘の間には桃色の霞がたなびき、空は上の藍から下の白へとぼかされています。斜面を左右から交互に重ね、手前の道から奇岩へと目を導く構図で、山道を上る旅の気分が伝わります。
鐘ヶ坂は、丹波の柏原と篠山を結ぶ道の峠です。鬼を追い払うため峠に鐘を置いたという伝説が名の由来とされ、画中の奇岩は、近くの金山の尾根にある「鬼の架け橋」を描いたものとされます。峠の上には明智光秀が築いた金山城の跡もあり、丹波の山城の歴史を伝える土地です。山深い丹波の国を、広重は峠道と奇岩の組み合わせで表しています。
鬼の架け橋は峠から仰ぎ見る岩ですが、広重はそれを峠道のすぐ上に引き寄せ、大きく描いています。国立国会図書館にも同じ構図の刷りがあります。
描かれた 場所の 今
鐘ヶ坂は兵庫県丹波市と丹波篠山市の境にあり、明治16年(1883年)に完成した旧鐘ヶ坂隧道は、日本最古級のレンガ積みの道路トンネルとされます。鬼の架け橋は金山の山頂近くにあり、登山道を歩いて間近に見ることができます。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
- 東京国立博物館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・台東区 作品番号 A-12499-230
海外の所蔵館
- シカゴ美術館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
シカゴ 作品番号 1965.981
出典・参考
- Art Institute of Chicago: Tanba Province: Kane Slope (Tanba, Kanesaka)(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
- ColBase(東京国立博物館): 六十余州名所図会 丹波 鐘坂(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
- 国立国会図書館デジタルコレクション: 六十余州名所図会 丹波 鐘坂(新しいタブで開きます)(2026-10-19 確認)
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