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冨嶽三十六景 ・ 14

甲州石班沢

ふがくさんじゅうろっけい こうしゅうかじかざわ

Thirty-six Views of Mount Fuji: Kajikazawa in Kai Province

波が砕ける岩の突端で投網の綱を引く漁師と、その傍らで魚籠をのぞく子ども。上には霞を隔てて富士の稜線が浮かび、岩と網と山の三角形が同じ形で響き合う、藍摺の名品です。

制作年
天保元〜4年頃(1830〜33年頃)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
冨嶽三十六景(全46図)
描かれた場所
鰍沢(山梨県)
遠くに見える場所
富士山

作品について

海の断崖かと見まがうほどせり出した岩に、波が激しくぶつかって泡立っています。その突端で、漁師は網の綱を握って身を乗り出し、少し後ろでは子どもが魚籠をのぞき込んでいます。荒れる水と、動じない漁師の姿が対照的です。

漁師を頂点に、突き出た岩と広がる網の綱が三角形をつくり、背後の富士の稜線と同じ形で呼応しています。漁をする父、のぞき込む子、見下ろす富士という三つの場面が、見る人の目を画面の中で動かします。初摺は藍一色で摺られ、葛飾北斎の藍摺の中でも特に優れた一枚と評されています。後の摺りでは色数が増え、雲間に橙色を引いたものもあります。

鰍沢の近くでは、甲府盆地を流れる釜無川や笛吹川が合わさって富士川となります。富士川に面した鰍沢には河岸が置かれ、甲斐・信濃と駿河湾を結ぶ水運の要所でした。山梨県立博物館は、鰍沢の南にあった禹之瀬(うのせ)という渓谷付近をイメージした図と見ています。題の「石班」は、魚の石班魚(うぐい)の誤記と考えられています。

描かれた場所の今

鰍沢は今の山梨県南巨摩郡富士川町にあります。富士川水運の船着き場だった鰍沢河岸の跡では発掘調査が行われ、河岸問屋や番所の跡が確かめられました。町内の大法師公園からは、富士山と富士川を眺められます。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

この作品を所蔵する館

この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)

出典・参考

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