冨嶽三十六景 ・ 14
甲州石班沢
ふがくさんじゅうろっけい こうしゅうかじかざわ
Thirty-six Views of Mount Fuji: Kajikazawa in Kai Province
作品に ついて
海の断崖かと見まがうほどせり出した岩に、波が激しくぶつかって泡立っています。その突端で、漁師は網の綱を握って身を乗り出し、少し後ろでは子どもが魚籠をのぞき込んでいます。荒れる水と、動じない漁師の姿が対照的です。
漁師を頂点に、突き出た岩と広がる網の綱が三角形をつくり、背後の富士の稜線と同じ形で呼応しています。漁をする父、のぞき込む子、見下ろす富士という三つの場面が、見る人の目を画面の中で動かします。初摺は藍一色で摺られ、葛飾北斎の藍摺の中でも特に優れた一枚と評されています。後の摺りでは色数が増え、雲間に橙色を引いたものもあります。
鰍沢の近くでは、甲府盆地を流れる釜無川や笛吹川が合わさって富士川となります。富士川に面した鰍沢には河岸が置かれ、甲斐・信濃と駿河湾を結ぶ水運の要所でした。山梨県立博物館は、鰍沢の南にあった禹之瀬(うのせ)という渓谷付近をイメージした図と見ています。題の「石班」は、魚の石班魚(うぐい)の誤記と考えられています。
描かれた 場所の 今
鰍沢は今の山梨県南巨摩郡富士川町にあります。富士川水運の船着き場だった鰍沢河岸の跡では発掘調査が行われ、河岸問屋や番所の跡が確かめられました。町内の大法師公園からは、富士山と富士川を眺められます。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
- 東京富士美術館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・八王子市
- 江戸東京博物館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・墨田区 作品番号 92202757
この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)
出典・参考
- ColBase 東京国立博物館 冨嶽三十六景(34枚)(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 山梨県立博物館「博物館資料のなかの『富士山』 葛飾北斎 冨嶽三十六景」(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 江戸東京博物館デジタルアーカイブス 冨嶽三十六景 甲州石班沢(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
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