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冨嶽三十六景 ・ 15

常州牛堀

ふがくさんじゅうろっけい じょうしゅううしぼり

Thirty-six Views of Mount Fuji: Ushibori in Hitachi Province

夜明け前の霞ヶ浦で、苫舟から身を乗り出した男が米のとぎ汁を流しています。その音に驚いた二羽の白鷺が飛び立ち、葦原の向こうに富士が静かにそびえる、音まで感じさせる一図です。

制作年
天保元〜4年頃(1830〜33年頃)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
冨嶽三十六景(全46図)
描かれた場所
牛堀(茨城県)
遠くに見える場所
富士山

作品について

画面の右下から対角線上に、苫(とま。菅や茅で編んだ覆い)をかけた舟が大きく突き出しています。舟の中には積み荷や人の姿、日々の道具が見え、舟の上の暮らしがうかがえます。左では男がとぎ汁を水面へこぼし、その音に驚いた白鷺が二羽飛び立っています。舟を囲む葦原は、細い線を何本も重ねて描かれています。

苫舟は船底が浅く、霞ヶ浦のような浅い水域を行き来するのに向いた舟です。男は朝食の支度をしているのかもしれません。藍を基調にした寒色の画面が、夜明け前の冷たく静かな空気を伝えます。とぎ汁が水に落ちる音と、鷺の羽音だけが聞こえてきそうな静けさです。

牛堀は霞ヶ浦の東岸、横利根川と北利根川の合流点近くにありました。玉造から潮来、鹿島へ向かう道筋にあたり、霞ヶ浦の出入口として水運の要所でした。この図は北東から南西へ、霞ヶ浦越しに富士を望んでいます。湖上や岸の台地は、富士や筑波山を眺める景勝地として知られていました。

描かれた場所の今

牛堀は今の茨城県潮来市にあります。常陸利根川に面した高台の権現山公園は、「常州牛堀」の眺めを描いた場所とされ、冬の晴れた日には富士山と筑波山を一度に望めます。西側の川沿いには水郷北斎公園が続いています。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

この作品を所蔵する館

この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)

出典・参考

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