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冨嶽三十六景 ・ 19

駿州江尻

ふがくさんじゅうろっけい すんしゅうえじり

Thirty-six Views of Mount Fuji: Ejiri in Suruga Province

突風が田の中の一本道を吹き抜け、旅人の懐紙や菅笠が空へ舞い上がります。身をかがめて強い風に耐える人々の向こうで、輪郭線だけで描かれた富士が静かに横たわっています。

制作年
天保元〜4年頃(1830〜33年頃)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
冨嶽三十六景(全46図)
描かれた場所
江尻宿(静岡県)
遠くに見える場所
富士山

作品について

この図の主役は、目に見えない風です。木々は大きく傾いて葉を散らし、旅人の懐から抜けた紙が、画面の左下から右上へ帯のように吸い込まれていきます。笠を押さえて身をかがめる人、着物を風にあおられる人など、一瞬の動きが写真のようにとらえられています。

富士は色をつけず、細い輪郭線だけで描かれています。激しく動く手前の景色と、まったく動じない富士との対比がこの図の要です。空は砂ぼこりでかすんだように暗く、うねる道の先には小さな祠があり、その奥に池の水面が白く見えています。富士の右手には、黒く平らな山影が一つ置かれ、輪郭線だけの富士を引き立てています。

江尻宿は駿河湾に注ぐ巴川の下流にあった東海道の宿場で、南の清水湊とともに交通の要所でした。静岡市の資料によると、本陣2軒、脇本陣3軒、旅籠50軒がありました。山梨県立博物館は、中央の祠を手がかりに、宿の西にあった姥が池付近から北東の富士を望んだ景色と見ています。

描かれた場所の今

江尻宿は今の静岡市清水区にありました。静岡市は江尻を巴川の舟運でにぎわった宿場として紹介しています。巴川に架かる稚児橋には、渡り初めの日に河童が現れたという伝承が残ります。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

この作品を所蔵する館

この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)

出典・参考

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