冨嶽三十六景 ・ 40
甲州伊沢暁
ふがくさんじゅうろっけい こうしゅういさわのあかつき
Thirty-six Views of Mount Fuji: Dawn at Isawa in Kai Province
作品に ついて
富士は墨色に近い暗い山肌で描かれ、空の低いところだけがうっすらと桃色に染まっています。日の出の直前、まだ光の届かない山の姿です。富士の裾から中景にかけては、平たく伸びる朝もやが幾重にもたなびいています。暗い富士と淡い空の対比が、まだ眠りの残る朝の空気を伝えます。
手前の宿場には茅葺きの屋根が連なり、そのあいだの道には、笠をかぶった旅人や荷を積んだ馬がひしめいています。早朝に宿を発つ人々のあわただしさが、小さな人物の群れで表されています。中景を流れる川には橋が架かり、宿場、川、富士が手前から奥へ順に重なっています。右手前には緑の岩山がせり出し、画面の右下を引き締めています。馬の背には荷が積まれ、人々は宿の前に集まって出発の支度をしています。
伊沢は今の山梨県笛吹市石和のことで、甲州街道の宿場でした。東京富士美術館は、中景の川を笛吹川としています。36図の後に追加された10図の一つで、墨で摺られた線と抑えた色合いが、夜明け前の静けさをつくっています。
描かれた 場所の 今
石和は甲州街道の宿場町として栄えた町です。昭和36年(1961)に源泉を掘ったところ、湯が周りの川や畑にあふれ出して話題になりました。それ以来、石和温泉として知られ、笛吹川の近くに温泉宿が集まっています。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
- 東京富士美術館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・八王子市
- 江戸東京博物館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・墨田区 作品番号 92202783
この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)
出典・参考
- ColBase 東京国立博物館 冨嶽三十六景(34枚)(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 山梨県立博物館「博物館資料のなかの『富士山』 葛飾北斎 冨嶽三十六景」(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 江戸東京博物館デジタルアーカイブス 冨嶽三十六景 甲州伊沢暁(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
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