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冨嶽三十六景 ・ 10

武州玉川

ふがくさんじゅうろっけい ぶしゅうたまがわ

Thirty-six Views of Mount Fuji: The Tama River in Musashi Province

斜めに流れる多摩川を荷を積んだ渡し舟が進み、手前の岸では荷馬を引く人が歩きます。霞の帯をはさんで奥に富士が大きく浮かぶ、藍の濃淡と細い波の線が澄んだ印象を残す川の景色です。

制作年
天保元〜4年頃(1830〜33年頃)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
冨嶽三十六景(全46図)
描かれた場所
多摩川(東京都)
遠くに見える場所
富士山

作品について

画面は斜めの帯で三つに分かれています。手前の土手、中央の藍色の川、そして霞をはさんだ奥の富士です。川には荷を積んだ舟が一艘、対岸へ向かい、土手では人と馬がゆっくりと歩いています。描かれた人物はこの二組だけで、広い川の静けさが際立ちます。舟の上では、積み荷のそばに船頭が立っています。

川面のさざ波は細い線で刻まれています。手前の流れには色をのせず、紙に凹凸だけをつける「空摺(からずり)」が使われ、光の加減で波の線が浮かび上がります。奥の富士は藍一色で大きく描かれ、手前の茶色の土手との間を、横に長い霞が隔てています。富士は山肌を藍で塗り、頂だけを白く残しています。

江戸時代の多摩川には橋がほとんどなく、日野、是政、登戸、二子、丸子、六郷など各地に渡し場が設けられていました。山梨県立博物館は、この図を中流域の渡し場から富士を望んだものと推測しています。東京富士美術館は、調布付近の渡し場からの眺めとみています。

描かれた場所の今

多摩川は今も東京都と神奈川県の境を流れ、河川敷には公園や運動場が整えられています。調布市の多摩川五本松公園は眺めのよい河川敷の公園で、市はダイヤモンド富士の撮影地としても紹介しています。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)

出典・参考

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