冨嶽三十六景 ・ 16
相州梅沢左
ふがくさんじゅうろっけい そうしゅううめざわのひだり
Thirty-six Views of Mount Fuji: Umezawa in Sagami Province
作品に ついて
この図には人も家も描かれていません。手前の水辺では、鶴たちが首を伸ばしたり、餌をついばんだりしています。空の二羽は富士へ向かうように飛び、左右から流れる雲がその間を埋めています。裾野の森は藍と緑の細かな点で描かれ、山頂に近づくにつれて点がまばらになっていきます。富士の白い頂は、上空の濃い藍のぼかしにくっきりと浮かびます。鶴は白い体に黒い羽と首をもつ姿で描かれています。
鶴と雲と富士の組み合わせは、不老長寿の理想郷・蓬莱山を描いた吉祥図を思わせます。山梨県立博物館は、特定の場所を写すよりも、めでたい絵として作られた図と見ています。画面は、当時人気だった顔料「ベロ藍(ベルリン・ブルー)」を基調に仕上げられています。
梅沢は東海道の大磯宿と小田原宿の間にあり、茶屋が並ぶ休憩所として栄えました。二宮町によると、ここには大名や公家、幕府の役人が休む「梅沢御本陣」もありました。題の「梅沢左」は、「梅沢庄」か「梅沢在」の彫り誤りと考えられています。
描かれた 場所の 今
梅沢は今の神奈川県中郡二宮町にあたり、町は梅沢を東海道の「間の宿」として紹介しています。町内の吾妻山公園は国土交通省の「関東の富士見百景」に選ばれ、箱根や丹沢の山並みとともに富士山を望めます。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
- 東京富士美術館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・八王子市
- 江戸東京博物館所蔵館の作品ページ(新しいタブで開きます)
東京都・墨田区 作品番号 92202756
この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)
出典・参考
- ColBase 東京国立博物館 冨嶽三十六景(34枚)(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 山梨県立博物館「博物館資料のなかの『富士山』 葛飾北斎 冨嶽三十六景」(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 江戸東京博物館デジタルアーカイブス 冨嶽三十六景 相州梅沢左(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
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