名画のふるさと名画と画家を地域から探す

冨嶽三十六景 ・ 16

相州梅沢左

ふがくさんじゅうろっけい そうしゅううめざわのひだり

Thirty-six Views of Mount Fuji: Umezawa in Sagami Province

霞の立ちこめる長い裾野の上に富士がそびえ、水辺では鶴が餌をついばみ、空では二羽の鶴が富士へ向かって舞います。人の姿がなく、めでたい吉祥図のような趣をもつ一図です。

制作年
天保元〜4年頃(1830〜33年頃)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
冨嶽三十六景(全46図)
描かれた場所
梅沢(神奈川県)
遠くに見える場所
富士山

作品について

この図には人も家も描かれていません。手前の水辺では、鶴たちが首を伸ばしたり、餌をついばんだりしています。空の二羽は富士へ向かうように飛び、左右から流れる雲がその間を埋めています。裾野の森は藍と緑の細かな点で描かれ、山頂に近づくにつれて点がまばらになっていきます。富士の白い頂は、上空の濃い藍のぼかしにくっきりと浮かびます。鶴は白い体に黒い羽と首をもつ姿で描かれています。

鶴と雲と富士の組み合わせは、不老長寿の理想郷・蓬莱山を描いた吉祥図を思わせます。山梨県立博物館は、特定の場所を写すよりも、めでたい絵として作られた図と見ています。画面は、当時人気だった顔料「ベロ藍(ベルリン・ブルー)」を基調に仕上げられています。

梅沢は東海道の大磯宿と小田原宿の間にあり、茶屋が並ぶ休憩所として栄えました。二宮町によると、ここには大名や公家、幕府の役人が休む「梅沢御本陣」もありました。題の「梅沢左」は、「梅沢庄」か「梅沢在」の彫り誤りと考えられています。

描かれた場所の今

梅沢は今の神奈川県中郡二宮町にあたり、町は梅沢を東海道の「間の宿」として紹介しています。町内の吾妻山公園は国土交通省の「関東の富士見百景」に選ばれ、箱根や丹沢の山並みとともに富士山を望めます。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

この作品を所蔵する館

この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)

出典・参考

姉妹サイト

同じ土地の名物や、天然記念物の動物、祭りも訪ねてみませんか。