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冨嶽三十六景 ・ 8

甲州犬目峠

ふがくさんじゅうろっけい こうしゅういぬめとうげ

Thirty-six Views of Mount Fuji: The Inume Pass in Kai Province

新緑の斜面を斜めに走る峠道を、旅人と荷馬が上っていきます。雲をはさんだ先には富士が鋭くそびえ、その山肌は白・藍・茶の三色で、高さごとの見え方の違いが摺り分けられています。

制作年
天保元〜4年頃(1830〜33年頃)
技法・形式
木版画(浮世絵)
揃物
冨嶽三十六景(全46図)
描かれた場所
犬目峠(山梨県)
遠くに見える場所
富士山

作品について

画面の右半分は、緑一色のなだらかな斜面です。左下では荷を積んだ馬と旅人が坂を上り始め、斜面の頂近くには笠をかぶった二人が小さく見えます。二組の旅人はどちらも小さく描かれ、峠から見渡す景色の広さと、ゆったりした旅の時間が伝わってきます。左下の一行は、荷を積んだ二頭の馬を連れています。

富士は頂の白、中ほどの藍、裾の茶と三色に分けて摺られ、高さによって見え方が変わる様子を表しています。峠道と富士の間には、色を摺らずに紙の地を残した雲が横たわります。その雲が距離をつくり、下に深い谷があることを感じさせます。斜面の木立は藍で濃く描かれ、明るい緑の斜面との間に明暗をつくっています。

犬目峠は甲州道中の峠で、富士の眺めがよいことで知られていました。犬目宿は、野田尻宿と下鳥沢宿の間にあった宿場です。山梨県立博物館は、犬目宿から桂川沿いの下鳥沢宿へ下る途中の峠を描いたと考えています。峠道の斜めの線と鋭い富士だけで組み立てた、明るく簡潔な構図です。

描かれた場所の今

犬目は今の山梨県上野原市にあります。旧甲州街道の犬目宿周辺には「遠見」と呼ばれる高台があり、国土交通省の「関東の富士見百景」に選ばれています。天気がよければ、一年を通して裾野の広い富士山を望めます。

どこで見られる?

展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。

この作品を所蔵する館

この揃物を所蔵する館(この図の所蔵は館のサイトでご確認ください)

出典・参考

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