悲母観音
ひぼかんのん
Merciful Mother Kannon
金色に輝く空に立つ観音が、水瓶から注ぐ霊水で、光の玉に包まれた赤子を見守る姿を描いた作品です。狩野芳崖が亡くなる直前に描き上げた絶筆で、近代日本画の出発点とされる重要文化財です。
- 画家
- 狩野芳崖
- 制作年
- 明治21年(1888)
- 技法・形式
- その他
作品に ついて
画面の上方、雲の上に観音が立ち、右手の水瓶から細い水を垂らしています。その先には、透明な光の玉に包まれた赤子が浮かび、観音を見上げています。左手には柳の枝を持っており、楊柳観音(柳の枝を持つ観音)の姿をとっています。画面の下には切り立った岩山がのぞきます。
画面全体に金泥(金の粉を膠で溶いた絵具)と金砂子が使われ、色を薄く何度も重ねて描かれています。観音の衣や装身具は細い線で緻密に描かれ、その線の美しさが見どころです。観音が赤子に霊水を注ぐ図は、これより前には見られない芳崖の創意と考えられています。
狩野芳崖は長門国(今の山口県)の狩野派の家に生まれました。フェノロサや岡倉天心と出会い、新しい日本画を模索します。東京美術学校の教官に任命されましたが、1888年11月5日、本作を描き上げた4日後に亡くなり、開校を見ることはありませんでした。
完成直前に亡くなったため、本作には落款がありません。「悲母観音」という題も、のちに付けられたものです。東京藝術大学が所蔵し、1955年に重要文化財に指定されました。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
出典・参考
- 東京藝術大学大学美術館 収蔵品データベース 悲母観音(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 文化遺産オンライン 絹本著色悲母観音像〈狩野芳崖筆〉(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
