黒扇
こくせん
The Black Fan
白いヴェールをかぶった女性が、胸もとで黒い扇を広げてこちらを見つめる半身像です。白と黒の対比と、肌やヴェールに差した青い影を、素早く力強い筆で描いた藤島武二のヨーロッパ留学期の作品です。
- 画家
- 藤島武二
- 制作年
- 明治41~42年(1908~09)
- 技法・形式
- 油彩
作品に ついて
女性は頭から白いヴェールをかぶり、黒い扇を両手で胸の前に広げています。ヴェールの白、扇の黒、背景の灰褐色という限られた色で組み立てられ、顔の明るさがいっそう際立ちます。ヴェールの影や頬には青が差され、白一色に見える部分にも色の変化があります。
筆の運びは速く、ヴェールのひだや扇の骨は、ひと筆ごとの太い跡で表されています。描き込みすぎない仕上げが、モデルの表情に生き生きとした感じを与えています。左上には画家のサインが入っています。黒い扇の骨にも灰色や青が混ぜられ、平板な黒になっていません。
藤島武二は鹿児島生まれの洋画家で、東京美術学校で長く後進を指導しました。約4年間ヨーロッパに留学し、本作はその滞在中の1908~09年に描かれた女性像の代表作です。1969年に重要文化財に指定されています。
藤島は晩年になってもこの絵をことのほか大切にしていました。アーティゾン美術館によれば、本作は創設者の石橋正二郎が、画家との深い信頼関係のもとで譲り受けたものです。
どこで 見られる?
展示は時期によって入れ替わります。訪れる前に、各館の展示情報を確かめてください。
この作品を所蔵する館
出典・参考
- アーティゾン美術館 コレクション 藤島武二(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
- 文化遺産オンライン 黒扇〈藤島武二筆/油絵 麻布〉(新しいタブで開きます)(2026-10-18 確認)
